
MHH(低ゴナドトロピン性性腺機能障害)
MHH(低ゴナドトロピン性
性腺機能障害)とは

MHH(低ゴナドトロピン性性腺機能障害)とは、精巣(性腺)自体には問題がないにもかかわらず、脳からの指令が届かないためにホルモン産生や精子形成がうまくいかなくなる状態のこと。
通常、脳の視床下部・下垂体で分泌されたゴナドトロピンという指令ホルモンが精巣に届くことで男性ホルモンや精子が作られるのですが、MHHの人は指令ホルモンが適切に分泌されず、精巣は指令を待っているだけの状態になってしまうのです。
原因
MHHを発症するのは10万人に2~10名程度。
その原因は、生まれつき司令塔の機能に問題がある先天性のもの(カルマン症候群など)と、脳腫瘍、頭部外傷、過度なストレス、急激な体重減少、放射線照射などが引き金となる後天性のものに分けられます。
症状
症状は発症する年齢によって異なります。
思春期前
15歳までに第二次性徴が訪れない、もしくは初来しても進行せず不完全になる思春期遅発症として次のような症状が現れます。
- 体毛が薄い、ひげがない
- 陰茎、精巣が小さい
- 声変わりをしていない
- 思春期年齢では一時的に低身長傾向になる
- 無精子症による不妊症で受診される事が多い
成人後
男性ホルモンの分泌や精子を作る能力が低下することより、性欲の減退、勃起障害(ED)、筋力の低下、疲労感、男性不妊といった症状が引き起こされます。
MHH の検査方法
MHH(低ゴナドトロピン性性腺機能障害)の検査は、ホルモンの血中濃度を測定し、問題が精巣にあるのか、それとも脳にあるのかを特定することから始まります。
血液検査

採血を行い、精巣から分泌される男性ホルモン「テストステロン」と脳の下垂体から分泌され精巣に指令を送る「LHおよびFSH(指令ホルモン/ゴナドトロピン)」の数値を調査。
精巣が作るテストステロンの値が低いにもかかわらず、本来その低下を感知して数値を上げるべきLHとFSHの値も同様に低い、または正常範囲内にとどまっている場合、MHHと判断します。
画像検査
MHHと診断された後、原因をさらに探るために次のような追加検査を行う場合があります。
頭部MRI検査
脳の下垂体や視床下部に腫瘍などの異常がないかを確認します。
ホルモン負荷試験
薬剤を投与して下垂体が刺激にどう反応するかを調べます。
MHHによる男性不妊の
治療方法
脳から出ていない指令ホルモンを補うために、hCG製剤とFSH製剤を直接注射で体内に取り込みます。
いわば「司令塔の代わりに現場の工場(精巣)へ直接指示を出す」ようなもの。
治療を受けた75%が約8.6カ月で射出精子を認め、37%が約14カ月で精子濃度が正常値範囲まで改善するといった報告があることからも、精巣を刺激してテストステロンの産生と精子形成の両方を促すことができる効果的な治療法と言えるでしょう。
費用について
MHH(低ゴナドトロピン性性腺機能障害)の治療は保険適用対象。
3割負担で¥9,300となっています。






