当院で診断・治療ができる
泌尿器疾患

過活動膀胱

過活動膀胱とは、尿が膀胱に十分にたまっていないのに急激な尿意や切迫感をもよおしてしまう状態のこと。
中には我慢できずに漏らしてしまうこともあります。

中高年の女性に多く見られる過活動膀胱ですが、男性でも前立腺肥大症の合併症として発症することも。
基本的な治療法は服薬ですが、症状が改善しない場合は他の疾患が隠れている可能性を考えて精密検査を行うことがあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、膀胱の下にある前立腺が肥大して尿道を圧迫して排尿障害をきたす病気のこと。
主な症状として1日8回以上の排尿、我慢できない急な尿意、夜間の頻尿、尿が出にくいといったことが挙げられます。

日常生活に大きな支障をきたす前立腺肥大症。
その治療は、薬剤で尿の通り道の抵抗を減らして症状を和らげる保存的アプローチとレーザーや電気メスで肥大した組織を物理的に取り除いて根本的な解決を目指す外科手術に大別されます。

前立腺炎（慢性・急性）

前立腺炎には慢性のものと急性のものがあります。

「慢性前立腺炎」の主な症状は、発熱を伴わない会陰部不快感や頻尿症状、残尿感、排尿時・排尿後の痛み、射精時・射精後の痛み、精液に血が混じるなど。
原因は多岐に渡るとされていますが、生活習慣の見直しやいろいろな治療を根気強く試すことで自分に合う治療法に出会うことができます。

「急性前立腺炎」の主な原因は細菌による感染。
排尿痛や頻尿症状と共に発熱を生じる場合が多く、早急な治療が必要となります。
できるだけ早く受診してください。

急性膀胱炎

尿路に棲みついた細菌が膀胱増殖して炎症が起きている状態。
いわゆる尿路感染症のひとつで、排尿時痛、残尿感、頻尿、血尿といった症状が現れます。

尿道に通過障害がある場合は発熱を伴うことも。
尿検査によって診断し、抗菌薬の服用によって治療します。

なお、頻繁に膀胱炎が起きている場合は、他の疾患が隠れている可能性もあるので注意が必要。
できるだけ早い精密検査をお勧めします。

急性腎盂腎炎

尿路感染症のひとつで腎臓が炎症している状態。発熱を伴い、腎臓がある側の側腹部から背部の痛みが現れます。
ただし、人によっては痛みを感じない場合もあるので要注意。
咳やのどの痛みなどの風邪症状がないにも関わらず、熱のみがある場合は腎盂腎炎の可能性が高くなります。

基本的な診断は身体所見・尿検査・血液検査。場合によっては超音波、CTなどの検査を行います。
抗菌剤の内服による治療がほとんどですが、尿路結石による急性腎盂腎炎は敗血症という危険な状態を引き起こす可能性があるため、入院治療や緊急処置が必要となることも。
健康のためにもなるべく早期の診断、治療が必要です。

急性精巣上体炎

尿道から侵入した細菌が精子の通り道を逆行し、精巣の後ろにある精巣上体で炎症を起こす疾患。
陰嚢の急激な腫れと赤み、精巣痛、そして発熱が特徴的な症状として現れますが、抗生物質の服用や消炎鎮痛剤によって改善します。

注意すべき点は急性精巣上体炎と同じような症状として精巣捻転があること。
まずは尿検査で細菌の有無を確認し、さらに超音波（エコー）で精巣上体の腫れや血流の増加を検査し、精巣捻転ではないことを確定させます。

血流が滞ってしまう精巣捻転は緊急性が高い疾患のひとつ。
陰嚢周辺の腫れや精巣痛がある場合は、当院をはじめとする泌尿器専門の医療機関を早急に受診してください。

神経因性膀胱

神経因性膀胱とは、神経障害で排尿がうまく出来なくなった状態のこと。
脳梗塞やパーキンソン病、子宮がん・直腸がんといった手術の後遺症、脊髄損傷などによって、膀胱と尿道を連動させる神経が機能不全に陥ってしまうのです。

放置すると尿路感染や腎機能障害などを引き起こす可能性がある神経因性膀胱。
尿流測定・残尿測定・膀胱内圧測定によって機能不全のパターンを正確に分析し、神経の指令がどのように途絶えているのかを特定します。

治療は膀胱の過活動を抑える薬物療法や決まった時間に排尿する行動療法が基本。
尿を出し切れない場合は自己導尿を行うこともあります。

前立腺がん

近年、日本人男性が罹患するがんの中で、胃がん・肺がんを抜いてトップになるほど患者数が急増している前立腺がん。
早期の段階では自覚症状がほとんど現れないサイレントキラーとしての一面を持っています。

がんが進行して大きくなり尿道を圧迫し始めると、排尿障害・頻尿・残尿感・血尿といった前立腺肥大症とよく似た症状が現れるのが特徴。
さらにがんが骨へ転移した場合は、腰や背中、骨盤周辺などに持続的な痛みを感じることがあります。

前立腺がんは末期になっても症状がでない場合もあるため早期発見が重要。
当院ではPSA測定、直腸診、MRI（他院へ依頼）などによって前立腺がんが疑われる場合、立腺生検（会陰部より前立腺に針を刺し前立腺の一部を採取し顕微鏡でがんの有無を調べる検査）で前立腺がんの診断を行っています。

タンパク尿

持続的なタンパク尿は腎臓のフィルター機能に何らかの不具合が生じていることを示す重要なサイン。
原因としては、慢性腎臓病や腎炎といった腎臓の病気の場合と、糖尿病・高血圧・全身の病気の一部として腎臓に障害が起きている場合が考えられます。

原因によって治療法が異なるため、尿中タンパク定量検査などで腎臓の状態を総合的に診断。
生活習慣の改善や薬物療法によって腎臓の状態を回復させることでタンパク尿が改善されます。

腎・尿管結石

結石とは尿に含まれるミネラル成分が腎臓内で結晶化し、石のように固まったもの。
結石が腎臓内にあるうちは無症状であることがほとんどですが、尿の流れに乗って腎臓から尿管へ移動して尿路を塞ぐと、腰から背中にかけての激痛や血尿、吐き気・嘔吐など激しい症状を引き起こします。

腎結石・尿管結石の治療で大切なのは、石の現在地と大きさを特定し、その状況に合わせた最適な方法で体外へ排出すること。
尿検査・超音波検査で腎臓の状態を把握し、レントゲンやCTといった画像情報で位置と大きさを特定します。

石が小さい場合は、痛み止めで症状を和らげつつ尿と共に石が自然に排出されるのを待つ待機療法。
大きな石や自然排出が困難な場合は体外衝撃波結石破砕術（ESWL）や経尿道的結石破砕術（TUL）など外科的方法で治療を行います。

膀胱がん

膀胱がんとは、尿を一時的に溜める袋である膀胱の内側を覆う粘膜（尿路上皮）で発生する悪性腫瘍のこと。
最も代表的な初期症状は「痛みを伴わない突然の血尿」で、コーラのような色の尿が一度出ると、次は正常に戻っていることが多く、見過ごされやすいのが特徴です。

がんが膀胱粘膜の表面に留まっている初期状態（表在性がん）であれば、膀胱内に再発しやすいものの転移リスクは低いですが、膀胱の筋肉の層まで深く食い込んでしまうほど進行してしまう（浸潤性がん）とリンパ節や他の臓器へ転移しやすいため、早期発見・早期治療が非常に重要。
また、膀胱がんが進行すると内視鏡的な治療が不可能となることがありますので、血尿があった場合はなるべく早く専門医を受診してください。